薬の「なぞ」にお答えします②
炎症を抑え、痛みをやわらげる薬。歯科の治療になくてはならないものです。
早く効くすぐれた薬ほど使い方のルールを守ることが大切。上手に、安全に使いこなしましょう。
副腎皮質ホルモン剤って?
上手に使えば効き目抜群! 自己流で使わないで
いわゆるステロイド剤です。炎症をしずめ、腫れや痛み、かゆみを劇的にやわらげる効果があります。炎症は、体内に入ってきた異物を追い出そうとするからだの免疫反応に
よって起こっているのですが、ステロイド剤はこうした免疫反応を抑えることで炎症を治します。歯科では、おもに口内炎や舌炎の治療用の塗り薬や貼り薬として用いられています。なお、カビ(真菌)による感染症をもっている患者さんが使うと、逆に病状を悪化させるおそれがあるので、注意が必要です。
●副腎皮質ホルモン剤ってこわい?
副腎皮質ホルモン剤は、基本的には短期の使用を前提とする薬です。使っているあいだは、免疫が抑制されている分感染しやすい状態になっています。そのため数日使う分には心配ないですが、長く使うと逆に新たな感染を起こしやすくなります。また、患部以外にベタベタ塗ったり、使い残したものを後日歯科医師の処方なしに自己流で使ったりしてはいけません。
使用法を間違えなければたいへん有用で重要な薬です。用法・用量を守って、スムーズな治療に役立てていきましょう。
薬局でもらう処方箋は保管しておきましょう。どれがどの薬なのかわからなくなってしまうことがあるからです。
また、以前もらった薬の使い残しを自己流で使うのはやめましょう。
殺菌用うがい薬って?
口のなかを殺菌・消毒します
風邪を引いたときなどにも使われる、殺菌・消毒用のうがい薬です。口のなかにはさまざまな細菌がすんでいます。口のなかの病気は、その多くが細菌による感染症ですので、うがい薬は歯科の治療のなかで幅広く使われています。歯肉炎から抜歯などの外科的な処置後、口内炎、舌炎などに有効で、おだやかな効き目があります。粉末、錠剤、液状タイプがあり、処方箋にしたがって水に溶かしたり、水でうすめて、1日数回うがいをします。最近では、やはり殺菌・消毒剤としておだやかな効果のあるトローチやスプレーも使われるようになってきました。
保湿剤って?
乾くお口にうるおいを!
つらいドライマウスの症状の緩和に用いられます。医薬品の人工唾液のスプレーのほかに、医薬部外品のスプレー、ジェル、うがい薬などの保湿剤があり、保湿効果のあるヒアルロン酸などが配合されたり、最近は唾液に含まれるラクトフェリン、リゾチームなどの抗菌物質を配合してあるものもあります。唾液の分泌が少ないと、むし歯や歯周病、口内炎になりやすいため、感染症の予防のために、こうした抗菌物質がおだやかに働きます。また、ドライマウス用のうがい薬は、アルコールフリーでしみないような工夫がされています。なお、医薬品の使用は歯科医師の処方が必要ですが、医薬部外品には歯科医師の処方は必要ありません。
薬の「なぞ」にお答えします①
必ず処方どおりに飲みましょう!
抗菌剤って?
細菌の細胞壁を破壊したり、増殖できないようにジャマをして、炎症を引き起こしている細菌をやっつける化膿止めの薬です。抗生物質はこの仲間です。現在歯科で使われている抗菌剤には数十種類があり、症例に合わせて、また持病の治療で薬を服用しているかたには、その薬と併用してもよい抗菌剤が選択され処方されています。さて、血液のなかに入った抗菌剤は体中をめぐり炎症や病気の場所に到着します。そして細菌をやっつける仕事を開始するのですが、この場所で薬が効果をあげるには、血液のなかの薬が一定の濃度で、一定の期間保たれている必要があります。そうでないと細菌をしっかりとやっつけることができませんし、抗菌剤が効かない耐性菌を生む原因にもなります。そこで重要になるのが、「用法・用量を守って服用すること」です。「毎食後1日3回」と書かれていたらそのとおりにお飲みください。そして、服薬を途中でやめないでください。これが鎮痛剤や抗炎症剤の飲み方とは違う、重要なポイントです。そこで、薬を受け取ったら、どれが抗菌剤でどれが抗炎症剤なのか、混同しないようにまず確認しましょう。そして抗炎症剤をもしもやめても、抗菌剤はしっかりと処方されただけお飲みください。効果が上がらないと治療の開始が遅れたり、治療期間が長引いてしまうこともあります。ぜひご協力ください。
●胃腸の調子が悪くなるわけ
抗菌剤は細菌をやっつける薬ですが、腸の調子を整えよい働きをしている腸内細菌までいっしょに殺してしまいます。そのため、抗菌剤を飲むと、便秘や下痢の症状が出ることがあります。そこで、胃薬もいっしょに処方してもらうとよいでしょう。
鎮痛剤と抗炎症剤って?
し歯が痛いときや歯を抜いたときなどに、腫れ・痛み止めとして使われています。鎮痛作用、解熱作用、腫れを抑える効果があり、飲み薬として処方されます。
しばらく痛みが続くと思われる患者さんには1日数回・数日間分を出しますが、そうでない場合は鎮痛効果の高い薬を頓服として出しています。
現在歯科で使われている抗炎症剤には数十種類があり、その成分や特長もさまざまです。歯科の痛みといってもむし歯から顎関節症までいろいろですので、症例に合わせて選択し、処方しています。
とくに、患者さんが持病の治療などで他科の処方薬を服用している場合は、その薬と併用してもよい抗炎症剤を選ぶことが重要です。また、特定の種類の抗炎症剤(アスピリンなど)は、インフルエンザや水ぼうそうにかかっているお子さんが飲むとインフルエンザ脳症を引き起こすことがあり、この場合には厳重に処方が禁止されています。
●胃の調子が悪くなるわけ
鎮痛剤や抗炎症剤は、痛みや腫れを誘発し伝達するプラスタグランジンという物質の発症を抑えることで痛みを止めます。ところがこのプラスタグランジンは、同時に胃粘膜を保護する役割ももっていて、プラスタグランジンが少なくなると痛みは止まるのですが、その分胃に負担がかかってしまうわけです。痛みがやんだら無理に飲む必要はありません。また、胃薬もいっしょに処方してもらうとよいでしょう。
抗真菌剤って?勝手にやめると再発しやすい!
真菌とは、カビのことです。カビ菌をやっつけて、感染した粘膜のただれや腫れを治します。カビ菌は通常、皮膚や口のなかなどにごく当たり前にいます。私たちが元気に生活しているときにはなんらトラブルにはならないのですが、体調が悪かったり疲れたりして抵抗力が落ちたときに発症することがあります。現在、抗真菌剤にはさまざまなタイプのものがあり、塗り薬、うがい薬、ジェル状のうがい薬、トローチ、内服用シロップ、飲み薬などがあります。ほかの薬同様、患者さんの症状や、持病の治療のために飲んでいる薬と合う薬が選択され処方されています。抗真菌剤がしっかりと効きカビ菌を退治するには、処方された期間使用を続けることが重要です。中途半端にやめてしまうと、カビ菌が力を盛り返し再発してしまいますので、処方どおりに使っていただくようお願いします。